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Si及びCの主要源泉としてSiCを使用した接種鋳鉄の長所

 

この研究は無芯誘導炉で熔解された鋳鉄熔湯に見られる接種効果の不安定さを解決する目的で行われたものである。

実際の生産でその効力を認められている4種の市販接種材を使用した場合、接種作業がよく効くかどうかに熔湯のS%が極めて重要であることが確認された。

Sが0.035~0.045%という低い値であるよりも高いS%、例えば0.096%Sの時の方が接種後の機械的性質、ミクロ組織が遥かに改善されそしてチル化傾向が減少している。従って電気炉熔湯に適切量のSを添加するのが有利である。(CEメーター冷却曲線により確認済み)

誘導電気炉熔解時、加珪材として粒状にした炭化珪素(以下SiCとする)を使用した時、或いは極めて最近であるがキューポラ熔湯の後期熔解(キューポラにポーラスプラッグを装備した反応室を取付け、そこで成分調整合金、接種を行なわせる方法、一種類の熔湯で各種材質を作るのを目的とする。ポーラスプラッグは脱硫に使うものと考えられていたが、最近では熔湯成分の均一化、添加物の迅速溶け込み、熔湯の浄化等に対する優れた性質を利用する事が多く報告されている)でSiCを加珪用に使用した時、接種がよく効き、組織その他の治金学的性能に優れた熔湯を得る事が出来る。

従来から、誘導炉熔湯でも、キューポラ熔湯でも、FeSiの代りにSiCを使った時の方が接種効果の減衰が少ない事はよく認められてきた。

又、誘導炉熔湯が接種に対する感応性の大幅な変動を起こし、且つその変動を予測しにくい事もこれ迄経験されて来た。そしてこの接種に対する感応性の変動は主としてS%の変動によるものだと推測された。

ネズミ鋳鉄では0.2%のボーダーの有効接種材を添加する事により過冷度を少なくし、薄肉部のチルを減少出来る。又、折出黒鉛の形をD型E型より優先してA型にする事が可能である。A型黒鉛の厚みは亜共晶成分内での炭素当量値(CE値)が増加するほど厚くなり、同時にオーステナイト-黒鉛の共晶セルの大きさも大きくなる。

ダクタイルの場合の接種の目的は主として炭化物折出の阻止に置かれ、その添加量は0.5%のオーダーである。