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うす肉チル防止に接種剤の溶湯流添加/電気炉操業による溶湯の引け防止にS添加

うす肉チル防止に接種剤の溶湯流添加

B社は引前よりキューポラ操業で平均単重1kg以下の製品が多く、いつもチル発生に悩まされていました。
このため前炉より大取鍋に湯を取る時1次接種をして大取鍋より注湯取鍋に取る時更に2次接種をする事によりチル防止に務めてきました。

然しながら、この方法でも大取鍋より注湯取鍋への移し替えの温度ドロップによる接着剤の拡散不良、又1枠重量が少ない事より後期注湯されたもののフェーディングなどにより肉厚2m/m~3m/mの製品になると完全にはチル発生を防げず、しかもTotal接種量が多い事から逆にシリコフェライトが発生する製品も出てきました。

この様な事から特にうす肉製品のチル対策を真剣に考え様々なテストを行ってきました。
そして最終的に行われたのが注湯取鍋と一体になった接種装置を使う事により、溶湯流中へ添加する方法がチル防止に顕著な効果が現われました。

又、この接種添加方法によれば添加量が従来の1/3~1/8位迄下がるのでシリコフェライトの発生もなくなりました。
以下、その方法についてご説明致します。

従来の接種剤添加量
大取鍋 1t 0.30% 0.42%
注湯取鍋 150kg 0.18%

 

溶湯流添加の場合
大取鍋 1t 0.10%(従来通り投入) 0.15%
注湯取鍋 150kg 0.05%(接種装置付)

電気炉操業による溶湯の引け防止にS添加

近年キューポラ溶解より電気炉溶解に変わった工場も多数見られ、その結果従来経験しなかった不良に困っている工場も数多く、今からお話しするA社もその内の1社であります。

A社では小物、中物、大物と単重1kg~2tの製品を生型とフランに使い分けて製造しております。
以前は、溶解はキューポラで行いFCD製造をはじめる時に電気炉(低周波誘導炉5t/B)に変更しました。
低周波ルツボ炉の溶解になってから以前発生していなかった外引けが中物、大物に目立ってきました。

このためいろいろな対策(主に接種剤の種類、方案)をしてきましたが、決め手に欠き最終的には硫化鉄(FeS)を添加する事で引けを防止することに成功しました。
その方法については以下ご報告致します。

溶解炉 低周波誘導炉 5t
材質 FC30
製品重量 50kg~2000kg
元湯S% 0.04~0.05%
FeS添加率 0.10~0.15
添加方法 取鍋1/3程入った所で投入
目標S% 0.09~0.10%

尚、その後この工場では亜硫酸ガスの影響も考えてダクタイルと併用で製造しない時にはルツボ炉へ直接地金と一緒に投入しております。