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鋳鉄鋳物の欠陥とその対策

近畿コークス販売株式会社・大阪ガス株式会社総合研究所/ 溶解ノート

国際鋳物技術委員会で、鋳物欠陥の分類がなされている。これによれば、外観的分類として、①鋳張り、出っ張り、②巣、③割れ、④鋳肌不良、⑤湯回り不良、形状不完全、⑥寸法不良、形状不良、⑦介在物・材質不均一の7種類に分けられている。

これらの欠陥は、設計によるもの、使用材料によるもの(溶解材、砂など)、作業によるもの(溶解、調砂、造型、注湯、仕上げなど)、鋳造方案によるものなどであるが、同じ欠陥でもその成因は異なることが多い。

下表に、一般的に多く出現する鋳物欠陥とその特徴を示す。鋳物の材質によって、欠陥の形態もやや異なったものになるが、本質的にはまったく同じと考えてよい場合が多い。

INDEX<鋳物の欠陥>

普通鋳鉄鋳物

球状黒鉛鋳鉄鋳物

砂かみ防止用添加剤について

東和化成工業㈱ 岩垣要二郎 谷治祐介/名古屋工業技術試験所 工博 太田英明/技術アドバイザー 松村英一

目的

生型用添加剤はこれまで種々なものが検討され、現在では炭素粉・でん粉等が極く一般的なものとして定着している。しかし、鋳物欠陥の発生状況を調査すると、多くの工場で砂かみが第1位になっている。

このことは、現在の生型砂はそれらの添加剤だけでは不十分で、砂かみを考慮した添加剤が必要と言える。一般に砂かみは生型砂の水分が失われて湿り気が不足した時に多いことを考えると、生型砂の混練処理あるいは搬送中に蒸発が少なく、常に安定した水分状態を保てるようにすることが良いと思われる。そのため空気中の水分を採り込んで湿潤性を保つ性質のある糖アルコール・糖類のいくつかを選択し、その効果を砂性状の変化で調べると共に、鋳物工場の協力を仰いで砂かみの実際的な防止効果を調べた。

実験方法

2.1 供試材料
  • 湿澗剤:ソルビット(70%溶液)、グリセリン、コーンシロップ(70%溶液)
  • 添加剤(比較用):石炭粉、α化でん粉
2.2 試験砂の配合
  1. 湿澗剤を添加した鋳型の特徴を測定するとき: 三河6号:100+ボルクレイ:7+添加剤:0~2.0+水(CB=39~42)
  2. ソルビットと既存添加剤の鋳型特性を測定するとき: フラタリー6号:100+ボルクレイ:7+添加剤:0~2.0+水(CB=2.9~4.5、但し混連直後から24時間後の変動を含む
2.3 測定した砂性状
  • 湿態強度、表面安定度、爆熱亀裂発生時間

実験結果

  1. ソルビット、グリセリン、コーンシロップとも表面安定度の向上に効果があったが、グリセリン及びコーンシロップは若干湿態強度を低下した。
  2. Fig.1に添加剤の添加量と表面安定度の関係、Fig.2に表面安定度と爆熱亀裂発生時間の関係を示した。ソルビットは表面安定度を向上させると同時に、爆熱亀裂発生時間の延長にも効果があった。
  3. 鋳物工場においては、商品名:「Tモールド」(主成分:ソルビット、東和化成工業㈱)を添加して砂かみの実際的な防止効果を調べた。その結果多くの工場で不良率が低減し、鋳肌もきれいになった。

結言

生型砂の湿潤剤としてソルビットを選定し、その実際的効果を鋳型の特性並びに鋳物工場における砂かみ欠陥の推移で調べた。その結果、ソルビットは生型ラインにおける砂かみ防止と鋳肌の改善に顕著な効果のあることが分かった。