低周波炉へのFCG(SiC)の利用
「低周波炉におけるライニング寿命改善について」という表題で掲載され、あらまし次のような結果が報告されている。 低周波炉において鉄を溶解する際に、SiCを添加すると
- 溶湯の経済的なC、Si源になる。
- ライニングの寿命を延ばせる。(特に酸性の場合)
- 接種効果の消失時間を延長できる。
- 摂取量を減少できる。
これらの現象はSiCが溶液中の酸化鉄(FeO)を還元することにより得られたものであり、実験の結果から興味ある事実が得られた。
すなわちSiCは溶融しない唯一のSi源で次のような反応により溶湯に溶解する。
SiC→Si+C+2000Kcal(8000Btu)
このCとSiは発生期の状態であり、非常に反応性に富んでおり、SiCの一部は次のような反応によって金属酸化物を完全に還元する。
FeO+SiC→Fe+Si+CO
3FeO+SiC→SiO2+3Fe+CO
※鋳鉄溶解に使用される低周波炉のライニング材であるシリカの融点は1718℃と高いが、溶鉄中にFeOが存在すると1177℃という低融点のファイヤライト(2FeO・SiO2)系共晶が生成して、ライニングを著しく侵食されるのを防止し、ライニングの寿命を延ばし、溶湯の清浄化を図る。又大部分のSi、Cは溶鉄に入り、Si、C源となる。結果の概略をまとめると別表の如くである。