TJFS-207: 生型砂の残存でん粉量試験方法
1. 適用範囲
生型砂の残存でん粉量の試験方法について定める。
2. 用語の意味
残存でん粉量とは、生型砂中に残存しているでん粉、および、それに準ずる残存物質を含むものである。
3. 試薬および試験装置
3-1. 試薬
- 2.5%塩酸
特級濃塩酸(HCl) 58ml を純水1000ml に希釈する。 - 0.9%水酸化ナトリウム溶液
特級水酸化ナトリウム(NaOH) 9g を純水1000ml に溶解する。 - 80%フェノール
特級フェノール(C6H5OH) 80g に純水20ml を加え、加湿混合する。 - 濃硫酸
特級濃硫酸(H2SO4)
3-2. 試験装置
光電光度計または光電比色計を用いる。
3-3. はかり
感量0.01g のものを用いる。
3-4. 検査
この方法に使用する装置の精度を保持するため、適宜所定の精度の有無を検査する。
4. 試験方法
4-1. 試料液の調整
試料を105℃±5℃で十分乾燥したのち、デシケータ中で放冷する。その5g を300ml 三角フラスコに入れ、2.5%塩酸50ml1) を加え、冷却管2)をつけ、電熱器上で30 分間煮沸3)し、でん粉を加水分解する。冷却後、分解液を200ml メスフラスコに移し。0.9%水酸化ナトリウム溶液150ml を加えて中和し、全量を200ml とする。次に、液を攪拌し、No5C ろ紙でろ過4)して試料液とする。
- 注1) 計量は100ml メスシリンダーを用いてもよい。
注2) 蒸発防止が目的であり、三角フラスコに摺り合わせ付きエアー冷却器をつけるなどすればよい。
注3) ごく弱く沸騰する程度に加熱を続ける。温度調節が可能なホットプレートが便利である。
注4) 液を攪拌後、約10 分間放置するとベントナイトは凝集して沈降し、ろ過が容易になる。
4-2. 操作
- 試験管(内径 16~20mm)に予想されるでん粉量によって下記の量の試料液を2ml メスピペットで採取する。試料液の採取量が2ml 以下の場合は、純水を加えて全量を2ml とする。
予想残存でん粉量% 0~0.5 0.5~1.0 1.0~2.0 試料液採取量ml 2.0 1.0 0.5 - 80%フェノール液1 滴(0.05mml)5)を加え、これに濃硫酸6)5ml を液面に直接当たるように、約10 秒以内の速さで加えて発熱、発色させる。
注5) 一定量を加えること(5ml ホールピペットの一滴は約0.05ml である)。
注6) 本法は硫酸が希釈されるときに生ずる熱によって反応が行われるので、硫酸の添加速度を、速く一定にする必要がある。5ml ホールピペットにピペッターをつけ、押し出すとよい。口での吸い上げ、押し出しは危険である。 - 1時間放置後、光電光度計または光電比色計を用いて、波長470μm における吸光度を測定する。対照液は、純水を用いて試料液と同じ操作でつくる。
4-3. 検量線の作成
- 105±5℃で乾燥したでん粉0.2g、ベントナイト0.5g、およびけい砂4.5g を使用し、試料液の調整と同様の手順により操作し、検液を調整する。
- 各濃度検液の作製
検液 ml 5 10 15 20 25 純水 ml 195 190 185 180 175 全量 ml 200 200 200 200 200 でん粉量 mg 5 10 15 20 25 - 前記検液2ml について4.2 の試験操作により吸光度を測定し、検量線を求める。
4-4. 残存でん粉量の算出方法
検量線よりでん粉量を求め、次式により生型砂中の残存でん粉量を算出する。
ここに
A:残存でん粉量(%)
T:検量線により求めたでん粉量(mg)
C:係数4.2 1)において
試料液 2ml の時 50
試料液 1ml の時 25
試料液0.5ml の時 12.5
5. 表示
残存でん粉量は%で表示する。
6. 記録
試験結果は、小数点以下第2 位まで算出する。ただし、同一の試料で2 回以上の試験を行い、偏差±5%以内のものの平均値とする。